「創作でした」で済まないもの 千葉大病院のX投稿問題が残した、もっと重い傷

COLUMN

「創作でした」で済まないもの 千葉大病院のX投稿問題が残した、もっと重い傷

人は、事実そのものよりも、
その事実を取り巻く“空気”に強く反応することがあります。

今回の千葉大病院の件も、
まさにそういう問題でした。

病院の調査では、
投稿者は看護師と特定されたものの、
患者に対する不適切な対応を実際に行った証拠は確認されませんでした。

それでも、多くの人の胸に重たいものが残った。
そこが、この話の本当の深さです。

なぜか。

それは、
医療という仕事が、
技術だけで成り立つ世界ではないからです。

診断が正しい。
手順も守っている。
記録も残っている。

それでもなお、
患者が最後に預けているのは、
「この人は自分を雑に扱わないだろう」という信頼です。

この信頼は、ガラスに少し似ています。
見た目は硬い。
けれど、細い傷が一度入ると、
前と同じ透明さには戻りません。

T-たかし
T-たかし
「創作でした」で戻るのは投稿画面だけです。
信頼のほうは、Ctrl+Zが効かないんですよね。

証拠がなくても、傷は残る

今回、病院側は、
証拠が見つからなかったことを説明すると同時に、
患者の尊厳を傷つけ、
看護師への信頼を著しく損なう投稿であり、
許されないと明確に批判しました。

この姿勢は当然です。
むしろ、そこを曖昧にしてしまうと、
もっと大きな傷になっていたでしょう。

ただ、ここで話を
「ひどい投稿をした個人が悪い」だけで終えると、
少し見落とすものがあります。

調査結果では、
背景として、医師からの言動による強いストレスや、
重症患者を多く扱う部署で、
本人の許容範囲を超えた業務負荷などが挙げられていました。

つまり、問題は人格だけではなく、
環境のゆがみとも結びついていた可能性がある、ということです。

もちろん、
ストレスがあるから何を書いてもいい、
という話ではありません。

そこは絶対に違う。

でも、
人が壊れそうになるとき、
言葉は先にゆがむことがある。
それもまた、現実です。

春先の名古屋でも、
昼は少しやわらかくても、
夜になると急に冷える日があります。

人の心も少し似ています。

外から見れば、
普通に働いているように見える。
けれど内側では、
かなり前から温度が下がっていた、
ということがある。

T-たかし
T-たかし
数学でいえば、信用は100点満点から一気に0になるとは限りません。
でも、99が98になった瞬間に、空気は確実に変わります。

個人だけを叩いても、再発は止まらない

今回の件で、
病院側は再発防止策として、
職員の心身の不調に対する支援体制の充実、
管理職向けのハラスメント研修、
SNSガイドラインの改正などを挙げました。

これは妥当です。
問題が起きたあとに罰するだけでは、
同じような火種はまた別の場所でくすぶります。

思えば、SNSは
本音を吐き出す場所として広がった一方で、
その本音が誰かの命や安心に接続している仕事では、
ただの“裏アカ感覚”では済みません。

医療に限らず、
教育でも、介護でも、接客でも、
人を相手にする仕事ほど、
言葉の乱れは仕事の乱れに見えてしまう。

たとえ実害の証拠が確認されなかったとしても、
読む側は、
「この人は本当に大丈夫なのか」
「この現場は本当に大丈夫なのか」
と感じます。

そして、その不安は簡単には消えません。

これはアリストテレスの言葉だが、
人は繰り返す行為によって形づくられる。

もしそうなら、
日々の言葉もまた、
その人や組織の輪郭をつくっていくのでしょう。

投稿は数秒。
信頼の修復は、何カ月も何年もかかる。

この落差が、
SNS時代のいちばん怖いところです。

T-たかし
T-たかし
物理でいうと、軽い力でも“ヒビの起点”にはなります。
組織も同じで、壊すのは一瞬、持ち直すのは地味で長いんです。

最後に

今回の調査結果は、
患者被害を裏づける証拠が見つからなかった、
という点では、
最悪の事態を避けた報告だったのかもしれません。

けれど同時に、
「証拠がなかったからよかった」で終わってはいけない問題でもあります。

信頼は、
事故の有無だけでは守れません。

患者をどう見るか。
仕事をどう受け止めるか。
苦しいときに、
組織がどこまで異変を受け止められるか。

そこまで含めて、
医療の信用なのだと思います。

本当に重いのは、
削除された投稿そのものではなく、
あの投稿を読んだ人の心に残った
“ここは大丈夫だろうか”
という微かな揺れです。

その揺れを軽く見ないこと。
そこからしか、
信頼の修復は始まらないのだと思います。

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